2022-07-24

講師インタビュー:上嶋講師(現役医師)

面接はその人のコミュニケーション能力や人間性を見るために行われます

受験生を同じ尺度で測る上で、
学力というひとつの物差しがあるわけですが、
最近は、学力さえあれば医学部に合格できる
というわけではなくなってきています。

医者になった後に、学力だけの医者というのは
活躍できる範囲が狭くなってしまうため、
二次試験で面接を導入している大学が非常に多くなっています。
その面接で何を見るのかというと、質問に対する答えよりも、
答えようとする姿勢であったり、
自分が知らないことに対するアプローチの仕方や、
自分が知っていることをいかに人に
理解してもらいやすい言葉で説明できるかなど、
人とコミュニケーションをとる上で必要なスキルや、
人間性が見られています。

実際の医療現場でもコミュニケーション能力は重要

医療現場において
病気や医療技術の知識はもちろん大切ですが、
患者さんに対する対応も重要です。
病気の傾向も治療方針も患者さんによって様々で、
十人十色ですから、患者さんの話をしっかり聞きつつ、
診断し、治療していく必要性があるわけです。
実際の現場でも、
面接にあまり比重を置いていない大学出身で、
学力は非常に高い医者が、コミュニケーション不足が原因で
患者さんと揉めてしまうケースを
何度も目の当たりにしてきました。

同じことを伝えるにしても、
例えば、「AがBです」とだけ伝えるのと
「AがBになるのに、Cという理由があってBになりました」
と伝えるのとでは、随分と印象が違います。
医者として患者さんとの信頼関係を築いていくためには、
ただただ自分の知識を押しつけるだけでは、成立しないのです。
ですから、面接に重点をおく医学部が
かなり増えてきたというわけです。
これは、面接だけでなく
グループディスカッションにも同じことが言えます。

その場で考え、上手く伝えるにはテクニックが必要です

面接やグループディスカッションは、
減点方式で行われます。
試験本番で出されるテーマは様々で、
テーマに対する自分の意見を考えまとめて、
人に伝わるようにその場で発信しなくてはいけません。

面接という短い時間の中で、迅速にそれを行うのは、
やはりある程度経験を積んで、
慣れていないとできないものです。
頭の中では分かっているのに、
いざそれを人に伝えようとすると、
緊張も重なりまとまらなくなってしまう生徒は結構多く、
減点対象となってしまいます。

さらに、自分の意見に固執してしまい、
他人の意見を聞かないタイプも、
どんなに雄弁でも減点対象となります。

SPECの医学部面接講座では、面接だけでなく
グループディスカッションにも対応できるように、
最近のニュースをひとつトピックスとして持ってきて、
あえて良い意見と悪い意見に分かれ、
相手の意見を聞きながら自分の意見を述べる練習なども行い、
その場で考えるテクニックをブラッシュアップしながら、
減点されないような対策を行っています。

普段から物事をいろいろな面から考えるようにしておくことがベスト

普段の生活の中で、ひとつのニュースなどに対し、
良い面・悪い面を考え、それぞれに対して
自分なりの反対の意見を1個ずつ出してみる
といったことを意識的にやっておくと、
多面的に物事を捉えて考えることができるようになっていきます。

さらに、それを家族や友達とディスカッションすると、
よりよい練習になるでしょう。
そして、その時に大切にしてほしいのは、
自分とは違う意見に対し否定的になるのではなく、
その意見を汲み取った上で、
自分の意見をそこに乗せていくということ。
これは、面接やグループディスカッションの
テクニックとしてだけではなく、
医者として働く場合も、患者さんと治療方針を話す場合や、
医療チームで動く場合などに、
患者さんや他の医者と話し合いながら、
より良い意見を見出していくという、
必要かつとても重要なスキルです。

この多面的な考え方というのは、
数学に通じるところがあると僕は思っています。
例えば、空間の問題などはその空間をイメージすることで
一瞬で答えが導き出せることもあれば、
空間がイメージできない場合は、ベクトルなどに置き換え、
長い計算式で、遠回りではあるものの確実性のある方法で
答えを導き出すこともありますよね。
このように、数学も医者も多面的に物事を考えることで、
より良い答えを導き出せるようになるのです。

英語も論理的に考えると理解度がグンと上がる

英語の中に活かせる、数学的な考え方もあるんです。

英文を読み解く際、品詞を取る時に文章の中でどれが主語で
どれが動詞か分かりにくい場合があります。
そんな時、「これが主語かな?いや、違う、これかな?」と試行錯誤します。
これは、数学でいう背理法というもので、パズルを解いていく感覚です。

英語に対しても数学と同じように論理的に考えられるようになれば、
その理解度は全く違ってきます。

単語や熟語の意味だけを拾って読解していく英語は、
ある程度までは読めるけれど、どこかで限界がきます。
それよりも上に進もうと思うと、もうワンステップ必要で、
構文の取り方だったり文法も真の理解をし、
論理的な考え方が必要となるわけです。
SEPCフォーミュラーを学ぶことで、そういった英語の論理的な考え方を
身に付けることができます。

医者になりたいという思いを今一度しっかりと考えましょう

最近の医者になろうとする子ども達に感じるのは、
熱量の差です。
親が医者だから医者を目指す人が多かった業界でしたが、
近年では幼少期の経験などをきっかけに、
一般家庭から医者を目指す人もかなり増えてきました。
一般家庭から医者を目指す人は、
どんな医者になりたいかという明確な目標があったり、
家計の理由などから何がなんでも早く医学部に合格して、
医者として働きたいという勢いがあります。

逆に、親が医者だから何となく自分も…というタイプの人は、
目標がぼんやりしていたり、
裕福な家庭に育ってきたことで
親にお金を出してもらっていることを
当たり前のように感じてしまっていることも多いので、
そこに熱量の差が明らかに生まれています。
大学としても、医者の子どもを医者にしたいのではなく、
やる気のある前向きな生徒を医者に育てたいと考えるため、
医者になることへの意欲を面接で判断したいと思うのは当然です。

面接では「どうして医者になりたいのか?」
という質問は、必ずされます。
今一度、「自分がどうして医者になりたいのか?」
「どんな医者になりたいか?」を考えてみてください。
そこが明確になれば、勉強へのモチベーションも上がってきますし、
面接でもより良い結果が出せると思います。
面接の練習を、自分の思いを改めて考えるきっかけにしてほしいです。

現役の外科医だからこそあえて厳しいことを伝えます

医者は、患者さんから信頼され頼られる存在で、
場合によっては命を左右する立場です。
ですから、医療現場ではミスが許されない分、
患者さんや先輩医師から
怒られたりすることも多々あります。
日進月歩の医療をつねに勉強し続け、
医者として成長していかなければいけません。
正直、メンタルをかなり削られることの多い職業ですから、
メンタルの強さは重要ですね。

医学部を目指して、必死で勉強することは大変です。
それは、浪人を経験した僕も充分知っています。
でも、そこを乗り切れないようなメンタルでは、
仮に合格できたとしても苦労します。
受験の苦労をしっかりと乗り越えていけば、
メンタルも成長していくはずです。
大変だからこそ、達成感も大きい。
医者も同じです。
さらに、医者になると患者さんから
感謝されることもあって、
より大きな充実感も感じられます。

今は、しっかり苦労してください。
その頑張りは、必ず実を結ぶことでしょう。

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